以出齋 | Itshoh Tse

禮以行之 孫以出之 信以成之

大矢透《韻鏡考》國語譯

【韻鏡考】第五章 韻鏡の原型は夙に隋代に成れり

【本文】 第五章 韻鏡の原型は夙に隋代に成れり 若夫、一篇の字書、或は韻書を編成せんとするに方り、一に唯、既成の樣式體裁を摸倣し、墨守するものにあらざる限り、文字音韻を蒐集して、之を適當に分類序列するに【韻鏡内外轉其の他の次第と切韻の二百六韻…

【韻鏡考】第四章 韻鏡の原形の尋繹

【本文】 第四章 韻鏡の原形の尋繹 【韻鏡以前の音圖】抑も韻鏡一類の音圖は南宋に於いて、張麟之が訂正刊行せし以前、既に數種有りし【楊中修切韻類例】ことは、司馬光と殆ど同時の楊中修に、切韻類例と云ふが有りて、之に四十四轉の音【孫覿が鴻慶集】圖あ…

【韻鏡考】第三章 韻鏡の歸字の時代の觀察

【本文】 第三章 韻鏡の歸字の時代の觀察 凡そ、今の世に在りて、隋唐時代の字音の全象を略〃模索し得べきは、廣韻の外無く、宋9/10【廣韻の唐韻との關係】代の字音の審に知らるゝものは、集韻に如くは無し。廣韻は、宋初に於いて、陳彭年等が唐韻を校正増補…

【韻鏡考】第二章 韻鏡の我が國に入れる以來の狀況

【本文】 第二章 韻鏡の我が國に入れる以來の狀況 韻鏡は、何の世、誰の作なるか未タ詳かならず。南宋の張麟之といふが、少年の頃、之を得て字音を研究し、晩年に之を訂正したるを、紹興三十一年(我が二條天皇應保元年。)初めて刊行し、慶元三年(我が後鳥…

【韻鏡考】第一章 韻鏡とは如何なるものかるか

【本文】 第一章 韻鏡とは如何なるものかるか 抑も支那にては、古今に涉りて讀書音と方音とありて、讀書音は、隋唐時代には、南北大體同じかりしこと、玉篇と廣韻との反切に大差なきにて知るべきなり。而も口舌上、反切の發音は異なる所ありしかば、隋、天下…

【韻鏡考】敍説

【本文】 韻鏡考 大矢 透 敍 説 著者が假名通考編述の事に從ひてより、既に數星霜を經過したり。而も天賦の魯鈍なる、自ら鞭撻すれども事、意の如く進捗せず、僅かに本編第一篇、假名源流考、第五篇音圖及手習詞歌考、外編第一篇、周代古音考の刊行せられた…

【韻鏡考】目次

韻鏡考 目次 敍説/一頁 第一章 韻鏡とは如何なるものなるか/三頁 第二章 韻鏡の我が國に入れる以來の狀況/七頁 第三章 韻鏡の歸字の時代の觀察/九頁 第四章 韻鏡の原型の尋繹/十三頁 第五章 韻鏡の原形は夙に隋代に成れり/十七頁 第六章 音圖製作の目的及び…

【韻鏡考】要項

【本文】 讀音に對し著者が特に注意を請はんとする要項 第一、音圖成立の時代 宋以來、音圖は唐末以後のものなるべく謂へるに、編中、韻鏡は隋唐以上の切韻圖の宋末に傳われるものなりと爲せり。こは唐初の武玄之が韻詮の悉曇藏に引かれたるに、既に同式の音…

【韻鏡考】凡例

【本文】 韻鏡考 凡例 一、此の篇は、假名通考外篇第五篇にして、韻鏡に對する諸般の事項を考證し、解釋したるものなり。 一、韻鏡は、我が國に於いて、古今の字音を論ずるものの標準とせらるること既に久し。しかもこは、本來宋人が、宋代當時の字音を標準…